大倉孫兵衞 |
大倉和親 |
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大倉陶園 初窯品 誕生物語 『白磁薄肉彫蓋付菓子鉢』(非売品) 創業当時、孫兵衛と和親は、すでに日本陶器合名会社(現在のノリタケカンパニーリミテド)・東洋陶器株式会社(現在のTOTO)・日本碍子株式会社(日本ガイシ)を設立し、日本の近代セラミックス産業に不動の地位を築いていましたが、その成功に満足することなく、なおいっそう高品質な西洋陶磁器を製造する工場の設立を夢見ていました。その夢を実現するために私財を投じてまで創業したのが大倉陶園です。 |
理想の白磁を開発するにあたり、大倉和親は以下の言葉を残しています。 実用食器の主眼は 一、美観のあること -装飾物ではない 二、清浄なこと -汚れっぽくてはいけない 三、使い途にあっていること -日常生活に役立てば必ず喜ばれる 四、堅固なこと -強くなくてはいけない この四点であることを確信します。 創業から白磁の開発を始め、完成するまでに3年余りをかけることとなります。 磁器の性質を決めるのは、主に原料と焼成温度です。一般的には焼成温度を高くするほど磁器は硬くなり、結果として薄くても割れにくくなります。その高温に耐え、なおかつ白さを有する原料を探し求めることとなりました。 |
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原料3種 【カオリン(上側中央)】 【珪石(左側)】【長石(右側)】 |
この頃運良く国の機関も陶磁器の原料の調査をしていたことで、白く、高温焼成に適した「カオリン」を入手するに至ります。国外の鉱脈の中から質の良いもの(鉄分の少ないもの)を採掘し選別した、最高級のものとなりました。このカオリンを主原料とし、長石、珪石を加えて調合し、白磁を製作することとなりました。 温度については当時のフランスリモージュの焼成温度を参考にし、1460℃とすることになったといいます。この温度帯は10℃上げるだけで莫大な燃料を必要とし、特殊な窯や原料の調合が必要となります。そのため現在では1460℃という高温で焼成するメーカーは、世界で大倉陶園のみとなっています。 そして様々な方面からの研究を重ねた結果、1922年(大正11年)、念願の“色の白さ、磁器質の硬さ、肌のなめらかさ”を併せ持つ、世に出る最初の製品『白磁薄肉彫蓋付菓子鉢』が完成しました。鳳凰を描く心に最高の美術陶磁器たらんとする矜持が窺われます。 |
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現在の本窯(トンネル窯) 窯の中央部分で1460℃に達します。 |
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大倉陶園100周年へ向けて(記念ムービー)